○第164回談話会
日 時 令和6年11月23日(土)午後1時40分から
場 所 茨城県水戸生涯学習センター 小講座室
発 表 「葉包み食の民俗学的研究―茨城県の事例を中心にー」
発表者 宿澤 泉帆さん(本会会員・港区立郷土歴史館学芸員)
発表要旨
葉包み食とは、全国で伝承されてきた葉に包まれた食物を指す言葉である。
日本各地には、五月節供に作られるちまきや柏餅をはじめ、鹿児島県のあくまき、沖縄県の ムーチー、奈良県の柿の葉寿司、新潟県の笹だんごなど様々な葉包み食が作られている。
本研究は、各地に伝承される葉包み食の実態について地域性を調査し、食生活における草木葉利用に関する知識・技術の伝承の実態を明らかにすることが目的である。
葉包み食研究は植生学、家政学、民俗学から主な先行研究が発表されているが、全国の多くの事例を扱った資料が少なく、葉包み食の地域性が明らかにされたとは言い難かった。そこで、本研究では市町村史を主な資料として、葉包み食の事例を収集し、葉の種類や形態など、諸項目の地域分布を分析した。その結果、葉包み食には「かしわもち系」「ちまき系」を中心に、いくつかの系統があり、それらに使われる葉や形態は、各地の気候や風土によって多様に変化していることが分かった。
本発表では、『食生活全集』シリーズの事例をもとに、全国の葉包み食の事例を紹介しながら、その地域偏差について指摘を行い、その後茨城県の事例について、市町村史の事例も加えて、葉包み食における地域的特色を明らかにする。
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